「ママがついた嘘」(抜粋)  by Randall Watters

"LIES My Mother Told Me," by Randall Watters Free Minds Journal. http://www.freeminds.org/psych/lies.htm

(2002年4月22日掲載・2003年6月22日改訂)

カルトは大きな家族、正確に言えば虐待的な家族です。悪い家庭環境では、父母は子供の生活のあらゆる面を支配しようとします。何を質問して良いのか悪いのか、目上の人に話をするときはどういう姿勢、どういう声の調子ですべきか等々。子供が犯す失敗には不釣り合いな懲罰が与えられ、相手への信頼など別世界のものです。

普通の健康な家庭では、規則は一時期だけ与えられるもので、いずれは信頼と、自分で決定する責任にとって代わられます。ですが、カルトの「子供」たちはそのような責任を与えられることはありません。そんなことをすれば、行動の多様性という容認しがたい状態が生じるからです(カルトではクローンのような行動が肝要)。カルトメンバーは指導者から信頼されておらず、指導者も自分たちの行動規範がメンバーにとって自然でも人間本来の振る舞いでもないこと、目の前で何度も手本を演じなければならないことを知っています。「ロープを与えてはいけない。首を吊りかねないから」というのがカルト指導者の心理です。結果として、末端信者は子供として扱われ、重要な決定を任されません。

普通の家族でも、両親が「ちょっとした罪のない嘘」を使って、子供に対するややこしくて気まずい説明を避けることはあります。パパがママに隠れて何をしているか、サンタクロースの正体は誰か、ママにぼくのおもちゃを買うお金があるかどうか、などです。とはいえ、子供が成長するにつれ、こうした嘘が使われなくなり、親が自分の弱さを認めるようになるのが望ましい姿です。

不幸にして、一部の親は子供がかなり成長しても、自分が全知全能だという偽りのイメージを保とうとします。そのような(広い意味での)子育ての例がものみの塔です。

エホバの証人にとってエホバは父であり、組織は母です。これは最初からか弱く幼い心に刻み込まれます。ママの言うことを聞かないと家族から追放される、という恐れは証人の脳裏に常にあります。

ママは自分も間違いを犯すことを知っていますが、子供たちにそのことを話題にされるのは耐えられません。ママが弱みを見せたら子供たちは敬意を失うだろうと思っているのです。


  1. 「ママがついた嘘」
  2. 霊的中毒からの立ち直り
  3. 「証人としての人生、そして私が辞めたわけ
  4. 忌避 − 「エホバの証人の信仰の一部
  5. 身体的・感情的虐待による人格障害
  6. 「自由思想の代償」
  7. 「ものみの塔の子供たち」
  8. 女性がものみの塔で失った年月を取り戻すために
  9. カルトにいたことを子供にどう伝えるか
  10. ランダル・ワッターズの証し (1974〜1980年 ものみの塔本部で奉仕)
  11. 「自由思想の代償」
  12. 排斥:ものみの塔という椅子を支える一本の脚
  13. ものみの塔の歴代会長の時代別概観

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